3月のライオン(8) / 羽海野チカ
内容
新人王となった零は様々な人々の期待を受け宗谷名人との記念対局に臨む。この対局をきっかけに零は宗谷の重大な秘密を知ることになる。
一方、島田八段は棋匠戦で初タイトルをかけ柳原棋匠と死闘を繰り広げていた…
お互いのすべてを出し尽くした勝負の行方は…?「戦い続ける事」その重さを読者の方に問いかけます。
裏表紙より
感想
宗谷名人はやっぱり和服が似合う!
8巻では、どこか人間離れしている宗谷名人のある秘密が明かされます。不思議な人でつかみどころがなかったけど、少し身近に感じられました。
それから負けた相手にも、楽しくてもう一度指したいと思わせる宗谷名人はやはりすごい。どんな対局だったのでしょうか。将棋が分からないのがとても残念です。
後半は島田さんと柳原さんのタイトル戦となります。前半の桐山と宗谷名人の戦いが静かに流れるように過ぎていったのに対してこちらはメラメラと激しく燃え盛る戦いとなっています。
初タイトルを奪取したい島田さんと「永世棋匠」の獲得がかかった柳原さんの戦いなので激しく燃え上がるのは当たり前なのです!
私は島田さんが好きなのですが、今回は柳原さんがかっこよかったです。
いろんな人の期待を背負った柳原さん。 それは重くて、時にがんじがらめになり身動きがとれなくなります。
ーずっと考えてた
俺から将棋をとったら何が残るんだろう······
ーまるで焼け野っ原にいるみてーだ···
ー駄目だ!!
わからんがこれは俺が絶対に手離しちゃいけねぇもんだ!!
オレが担いで届けるものだ!!
精一杯頑張った人間が最後に辿り着く場所が焼野ヶ原なんかであってたまるものか!!
時が経てば焼け野っ原には嫌でもまたあっという間に草がはえる
一面の緑になる
それを一緒に見るんだよ!!
ーでもな俺は覚えている
好きなヤツも嫌いなヤツも
山程いたが間違いねえ
ー今の俺はその全部のカケラでできている
「たすき」ってのは「期待」だ
何百何千とかけられたそれは時に身動きとれぬ程重いものであったが火だるまになる恐怖からも重く逃げ出さぬように縛りつけてくれていた
ーだとしたら俺はひょっとしてこの「重さ」のおかげでここまで逃げずに来れたとも言えるのか···
引用は2つとも柳原さんのものです。
いざというときに頼りになるのは「人々の思い」なんだ、一緒に勝利を味わいたい!と心を燃やす柳原さんがとてもかっこいいです。
私も人との繋がりをもっと大事にしたいと思いました。
お気に入り度
★★★★★