いかえるの感想日記

本や映画を”お気に入り度”によって評価しまとめています!他にも、お出かけしたことや音楽について感想を書いています。

グランド・ブダペスト・ホテル

 

グランド・ブダペスト・ホテル (字幕版)

 

内容

 

ダージリン急行』などのウェス・アンダーソン監督が、格式高い高級ホテルを取り仕切るコンシェルジュと、彼を慕うベルボーイが繰り広げる冒険を描いた群像ミステリー。常連客をめぐる殺人事件と遺産争いに巻き込まれた二人が、ホテルの威信のためにヨーロッパ中を駆け巡り事件解明に奔走する。主演のレイフ・ファインズをはじめ、エドワード・ノートンエイドリアン・ブロディジュード・ロウなど豪華キャストがそろう。

 

1932年、品格が漂うグランド・ブダペスト・ホテルを仕切る名コンシェルジュのグスタヴ・H(レイフ・ファインズ)は、究極のおもてなしを信条に大勢の顧客たちをもてなしていた。しかし、常連客のマダムD(ティルダ・スウィントン)が殺されたことでばく大な遺産争いに巻き込まれてしまう。グスタヴは信頼するベルボーイのゼロ(トニー・レヴォロリ)と一緒にホテルの威信を維持すべく、ヨーロッパ中を駆け巡り……。

 

引用元

解説・あらすじ - グランド・ブダペスト・ホテル - 作品 - Yahoo!映画

 

感想

 

ネタバレあります!

 

ウェス・アンダーソン監督の独特な世界観、とても好きです。

グランド・ブダペスト・ホテル」もウェス・アンダーソン監督らしい作品で面白かったです。ピンクのホテルって~かわいすぎ~!


オレンジ!イエロー!ブルー!ピンク!ヨーロッパの子供部屋みたいな鮮やかな色使い。
北欧を思わせる伸びやかな合唱。秩序だった音楽。
ウェス監督が作る空気感がいいんですよね~!!( `ー´)ノ

 
サントラ!

www.youtube.com

 

ただ、私はこれまで、ウェス・アンダーソン監督の作品を「ダージリン急行」「ムーンライズ・キングダム」と観てきましたが、グランド・ブダペスト・ホテル」には少し違った空気を感じました。
かわいいだけじゃない。残酷な描写もいくつかありました。(残酷といってもウェス監督の作品なので、そこまで怖くはなかったけど)

 

今まで私が観てきた作品の空気を考えると少し異質と言いますか…こういうのも撮るのね~。

 

観た後に引っかかったことがあったので、ネットでいろいろと調べてみたら理由が分かりました。

 

どうやら、グランド・ブダペスト・ホテル」は作家シュテファン・ツヴァイクの生涯にインスパイア―して作った作品だそうです。

 

ツヴァイクは1930年~1940年代までとても有名な作家らしいのですが、今ではあまり知られていません。


ツヴァイクの生きていた1930年代のオーストリア・ハンガリー帝国多民族国家だったため、差別のない国でした。そのためユダヤ系の優秀な人の才能が認められていたり、文化的にも華が開いていたそうです。
しかし、第1次世界大戦を経てドイツとオーストアが併合しナチが権力を握ってしまいます。ユダヤ人は迫害され、大量虐殺があって…。
そしてユダヤ系であるツヴァイクの作品は燃やされてしまうのです。
ツヴァイクは、当時のハンガリー帝国のような、国籍や民族を超えた平和な世界の実現を夢見ていたため、絶望し自殺します。

 

上記、ツヴァイクの説明はこちらの記事を参考にまとめました。
とても分かりやすいです!(^^)!

町山智浩が語る『グランド・ブダペスト・ホテル』の元ネタとテーマ

ウィキペディアの記事も貼ります!

シュテファン・ツヴァイク - Wikpedia

 

グランド・ブダペスト・ホテル」の華やかさの裏に暗い影があるのは、こうしたテーマが根底にあったからなんですね。兵隊、戦争、殺人。そんなワードが散りばめられていたのも納得です。

さらに町山さんは、
ホテル = 当時のハンガリー帝国
グスタヴ = ツヴァイク
という図式を当てはめていましたが、ホテルもグスタヴも「グランド・ブダペスト・ホテル」の中では、ひっそりとたたずむような過去の栄光として扱っています。だとすれば、ツヴァイクの生きたハンガリー帝国は、やはり過去の栄華であり、今となっては蘇らせることは難しく懐かしむものなのです。

 

グランド・ブダペスト・ホテル」の醸し出すノスタルジーや悲壮感は、ツヴァイクの無念やハンガリー帝国の栄華と衰退だったのだと気がつきました。

 

いやあ…ウェス監督のセンスに脱帽です。参りましたね( 一一)

グランド・ブダペスト・ホテル」は、深読みしなくても十分楽しめます。
だけど、ウェス監督が作品に込めた思いを考えるとさらに好きになります。

 

すごい作品だ。

 

各ホテル間のコンシェルジュ同士の繋がりが密で、連絡し合うところがツボ。現場の弟子(?)に仕事を変わってもらうところw

 

お気に入り度

 

★★★★★

 

エイドリアン・ブロディ、あんな悪い役もこなすのね( `ー´)ノ
すごい!