犬ヶ島
内容
「グランド・ブダペスト・ホテル」のウェス・アンダーソン監督が日本を舞台に、「犬インフルエンザ」の蔓延によって離島に隔離された愛犬を探す少年と犬たちが繰り広げる冒険を描いたストップモーションアニメ。近未来の日本。メガ崎市で犬インフルエンザが大流行し、犬たちはゴミ処理場の島「犬ヶ島」に隔離されることに。12歳の少年・小林アタリは愛犬スポッツを捜し出すため、たった1人で小型機を盗んで犬ヶ島へと向かう。声優陣にはビル・マーレイ、エドワード・ノートンらアンダーソン監督作品の常連俳優のほか、スカーレット・ヨハンソン、グレタ・ガーウィグ、オノ・ヨーコら多彩な豪華メンバーが集結。日本からも、「RADWIMPS」の野田洋次郎や夏木マリらが参加。第68回ベルリン国際映画祭のオープニング作品として上映され、コンペティション部門で監督賞(銀熊賞)を受賞した。
引用元
感想
まず最初にお断りしないといけないのは、私はウェス・アンダーソン監督の作品が好きで、そのために判断が甘めになってしまうということです。
今回は褒めることしかしないよ!
主人公の小林アタリは市長の養子で孤独を抱える少年です。
小林少年には、スポッツという名の犬のボディガードがいます。両者の関係はそれ以上でもそれ以下でもありません(ペットのような扱いをすると怒られる)。
しかし、スポッツと小林少年は強い絆で結ばれていて、さらにスポッツが小林少年の心の拠り所となっているのです。
そんなスポッツが、ゴミ処理場へ捨てられてしまうのだから心穏やかでいられません!!
親が市長だろうが何だろうが、小林少年がスポッツを連れ戻す冒険に出るのは必然的なことです!
そしてゴミ処理場あらため、犬ヶ島で冒険を繰り出すのですが、展開が熱いこと熱いこと。とくに、野良犬出身でなかなか心を開かないチーフと小林少年が、お互いに共通点を見つけて、少しずつ歩み寄っていくところは心がじーんと温かくなりました。
ところで、ウェス・アンダーソン監督って、心の痛みや孤独を作品の中に練り込んできますよね。
多分私が、ウェス・アンダーソン監督の作品を好きな理由の一つがこれだと思います。
カラフルでかわいらしい映像の中に紛れ込んだ一匹の蠅のような、周りに溶け込めない異質さ。そこにスポットライトを当てて、美しくもどこか寂しい物語。こういうのが私は好きなんだな~と気がつきました。
そしてさらに気がついてしまったのですが、この感じは小川洋子さんの小説と似ているな~と思います。余談ですが共感してくれる人がいると嬉しいです…。
話の内容はもちろん、近未来でありながらレトロな感じの日本の雰囲気、音楽、映像の取り方、構成。舞台は日本なのに、不思議と洋楽が馴染み、日本語と英語が入り混じっても違和感なく楽しめる世界観。本当に良かったです!!
ウェス・アンダーソン監督の想像力とセンスに脱帽でした。
上映中にまた観に行きたい映画です。
作中で流れる曲。映画の雰囲気と合っていてとてもよい。
The West Coast Pop Art Experimental Band - I Won't Hurt You
お気に入り度
★★★★★