不時着する流星たち / 小川洋子
内容
盲目の祖父は、家中を歩いて考えつく限りの点と点を結び、その間の距離を測っては僕に記録させた。足音と歩数のつぶやきが一つに溶け合い、音楽のようになって耳に届いてくる。それはどこか果てしもない遠くから響いてくるかのようなひたむきな響きがあった――グレン・グールドにインスパイアされた短篇をはじめ、パトリシア・ハイスミス、エリザベス・テイラー、ローベルト・ヴァルザー等、かつて確かにこの世にあった人や事に端を発し、その記憶、手触り、痕跡を珠玉の物語に結晶化させた全十篇。
硬質でフェティッシュな筆致で現実と虚構のあわいを描き、静かな人生に突然訪れる破調の予感を見事にとらえた、物語の名手のかなでる10の変奏曲。
引用元
不時着する流星たち 小川 洋子:文芸書 | KADOKAWA
感想
優しくて温かかったり、妖艶でいびつだったり、残酷で恐ろしかったり。
人生の途中で起きた、ある出来事を美しい文章で物語っています。
私は「測量」と「肉詰めピーマンとマットレス」と「十三人きょうだい」が好きです。
小川洋子さんの小説を読んでいると、些細な出来事や変化にも気がついて、感動する心をいつまでも持ち続けたいな~と思います。
誰かと感想を言い合うより、静かに自分の中で思いを巡らせたい、そんな小説でした。
お気に入り度
★★★★