検察側の罪人 / 雫井脩介
内容
人が人を裁くとは? 雫井ミステリーの最高傑作
老夫婦殺人事件の容疑者の中に、時効事件の重要参考人が。執念を燃やす検事・最上だが、後輩の沖野は強引な捜査方針に疑問を抱く。
引用元
文春文庫『検察側の罪人 上』雫井脩介 | 文庫 - 文藝春秋BOOKS
感想
ネタバレあります!
久しぶりに小説を読みました!
本作は2018年に映画化もしてましたね。
雫井脩介さんの小説は昔に何作か読みましたが、結構映像化されてるよね(°∀°)
しやすいのかな?
「犯人に告ぐ」
「火の粉」
「クローズド・ノート」
「ビター・ブラッド」
の4作読んだことあるから、今回で5作目か!
何となく、やばめ~な作品が多い気がする。
劇的というか派手な展開が多いよね。だから映像化しやすいのかな?
本作もなかなかの問題作。
検事を主役にしているところは面白いし、罪人を逮捕しただけで事件は終わりじゃなくて、むしろその先の刑を決めるところの方が大事っていうのは、盲点でした。確かに大切だわ!( ゚Д゚)
裁判でこういう風に持っていきたいから、こういう証拠掴んできて~ってアドバイスしているところとか、リアルな感じがしました。
でもね。
まさか最上さんが。まさか検事が。
犯罪に手を染めるとは思わなかったよ!!(°∀°)
しかも、上巻のラストで殺人って…!
展開早すぎるし、めちゃくちゃだよおおお!
でも最上の行動って間違ってるの?
絶対に違うとは言い切れない。
なぜなら、過去に罪を犯してるのに、時効制度によって償っていない人がいたから。
それってどうなの??
人が人を裁くことの難しさ。
法律の不完全さ。
正義とは何か。
そんなことを考えさせられました。
特に「正義」について。
今回は、最上と沖野の2つの形の正義がありました。
最上というキャラクターは好きだし、殺人の動機は共感できます。
ただ、松倉へは他の形で復讐してほしかったです。
殺人って一番罪が重いと思うから(ノД`)・゜・。
でも何が正しいのかは分かりません。
「正義」の形は人それぞれで、「正しい」とか「正しくない」っていう二言論で語ろうとするから難しいのかもしれません。
作中では、諏訪部や白川や橘にもそれぞれの正義があります。
それが正しいのか分からなくても、自分の正義を信じて貫いている人はかっこいいし魅力的。(私は諏訪部のファン(*´Д`))
多分、正義って誰かが決めるものじゃなくて自分で定義していくものなんだと思います( 一一)
だから、裁判所は必要だけど、客観的に判断するのは難しいんですね。
ただ、自己中心的な考えを正義という言葉で誤魔化す人にはなりたくないな~と思いました。
問題作だと思っていたけど、考えてみたら重くてめちゃくちゃ真面目な小説だった…( ゚Д゚)
ちなみに私は、拘置所で最上と前川が会話するシーンで泣きました(ノД`)・゜・。
最上の人柄が、人脈が~(ノД`)・゜・。
最上を罪人へと変えてしまった松倉が憎い!
お気に入り度
★★★
ラストは法廷でど派手に対決!っていうのを期待していたのですが、そういう意味では期待が外れてしまって少し残念でした。悪い終わり方ではなかったけどね!