VINLAND SAGA(1)~(20) / 幸村誠
内容
千年期の終わり頃、あらゆる地に現れ暴虐の限りを尽くした最強の民族、ヴァイキング。トルフィンと名づけられた彼は、幼くして戦場を生き場所とし、血煙の彼方に幻の大陸“ヴィンランド”を目指す!!
引用元
ヴィンランド・サガ / 幸村誠 - アフタヌーン公式サイト - モアイ
感想
さらっとネタバレしてます!
いや~なんかすごい漫画ですよ。
始めは復讐漫画だと思っていたのです。トルフィンが殺された父の仇を討つためにまるで獣のように血を求めていて…。天真爛漫だった幼子のトルフィンが薄汚れた少年となってしまって本当に衝撃的です。
だけど読んでるうちに敵役の方が人間味あふれるキャラクターだな~と気がつくのです。冷酷で計算高いけど、筋は通っているしかっこいいんだぁ( 一一)
彼は、争いで全てを解決するヴァイキングや国王のやり方に嫌気を感じています。だから”真の指導者”のような存在が現れる時を待ち続けているのです。
そして”真の指導者”のような存在が現れたとき、忠誠を誓うのです。
アシェラッド~(-_-)/~~~ピシー!ピシー!
恐らく彼はトールズ(トルフィンの父)の圧倒的強さに相当惚れこんでいたと思う。トールズの強さがあれば、暴力に暴力で応えなくてすむので。
読者としては主人公を応援したくなるものですが、今回ばかりは分が悪い。というか幸村さんがそう仕組んでいるのでしょう。
そして、アシェラッドが死にます。しかもトルフィンではなく、他の者に殺されてしまうのです。トルフィンは復讐のために生きていたので、生きる気力を失くしてしまいます。さらに身分も奴隷にまで落ちるという…。
そう、この落差が驚き。ただの復讐漫画ではないのです。
ここからが本当のヴィンサガのスタートです。主人公・トルフィンの復活です。
奴隷となって農産物を作り、兄弟と呼べる仲間と出会うことでトルフィンの価値観がひっくり返されます。
ヴァイキングにとって戦いは誇り。
だけどそれは本当か。
父・トールズの言葉が思い出されます。
幼い頃のトルフィンには理解できませんでしたが、奴隷となった今のトルフィンには分かります。
ただ、ここで問題が生じてしまいます。
敵はいないはずだけど、相手が攻撃してきたら?
その攻撃で大切な人を失くしてしまったら?
それでも攻撃に耐え続けなければならないの?
そこでトルフィンは「攻撃するのは最後の手段」という考えにたどり着くのです。
きっとこの時代では多くの人に受け入れられない考えで大変苦労するでしょう。しかし理解する者もいます。
ここまで読んで私は、トールズの伝説級の強さやアシェラッドとの戦いの日々が
トルフィン=物語のテーマにとって重要な意味を成していたのだと気がつきました。
トールズは戦わないために戦場から引き揚げてきましたが、戦いを最後の手段に持ってくることはできませんでした(時代と仲間に恵まれなかったことが関係するかもしれない)。
アシェラッドはなるべく戦わない戦略をとっていましたが、やはり戦いを最後の手段に持ってくることはできませんでした(トールズ同様に、時代と仲間に恵まれなかったことが関係するかもしれない)。
つまり、トールズとアシェラッドはトルフィンや物語にとっては偉大な存在ですが、物語のテーマ(幸村さんの考え)としては彼らのやり方は間違っていたのです。
だからこそ、今後のトルフィンの行動が気になります。トルフィンもたくさん人殺してきたので難航しそう…( 一一)
いや~本当にすごい漫画だ。
お気に入り度
★★★★
ちなみにヴィンサガ、アニメ化が決定したらしいです(-_-)/~~~ピシー!ピシー!