チャイナタウン
内容
R・タウンのオリジナル脚本(アカデミー受賞)をR・ポランスキーがノスタルジア・ムードいっぱいに描き出した傑作ハードボイルド・ミステリ。
1937年のロスアンゼルス。私立探偵ジェイクはモーレイ夫人からダム建設技師である夫の浮気調査を依頼される。だが、盗み取りした写真がなぜか新聞に掲載され、それを見たもうひとりのモーレイ夫人が現れる。実は彼女こそ本物で、名をイヴリンという。ジェイクはこれがダム建設をめぐる疑惑と関係ありと睨んで調査を開始するが、モーレイは溺死体で発見され、ジェイクもまた謎の男たちに暴行を受ける。探偵と依頼人という関係を越えはじめたイヴリンとジェイクだったが、なおも謎は深まるばかりだった……。
感想
ネタバレあります!
これね、もうめっちゃくちゃ面白かったんです。というか好み!!
主演は「シャイニング」のジャック・ニコルソン。
今回は、強引で一匹狼で情に厚い感じの役がぴったりでした。
この映画、何も報われないんですよね。ジェイクが過去に加えてもう一人「傷つけたくない人を傷つけた」だけで。
高飛車でミステリアスな、モウレー夫人と恋仲に落ちていくんですけど、落ちた沼が深いんですよ。ずるっずる落ちていって、ラストのシーンの衝撃たるや。
車のクラクションとモウレー夫人の娘の悲鳴。車のランプと同じく、片目を射抜かれたモウレー夫人。黒幕のクロスに引き取られてしまう、モウレー夫人の娘。
結局クロスの権力の前では、ジェイクは何もできなかったんです。無力!
「怠け者の街だ」とジェイクは呟くのですが、街が変わらない限り、こういった事件はなくならないでしょう。
街に抗うすべはなく、ジェイクはこの街を去っていきます。
後味は悪いけど、この虚無感が何故か癖になるんですよね。
1900年代頃の古典ミステリー小説に出てくるような、ジェイクとモウレー夫人の掛け合いとかも結構好きです。ハードボイルドっていうのかな( 一一)
それから、ジェイクが繰り出す探偵の小技の数々も良かったです。
時計を車のタイヤの側に置いて、タイヤの重みで時計が壊れたところで、車が移動した時間を計る方法や、名刺をいくつも持って行って活用させたり、車のランプを壊して夜の道を追走したり。
ちょこちょこっとしたところでもわりと面白いんですよね~。
クロスがジェイクに「娘と寝たのか?」と聞くシーンがあるんですけどね。
その時、ジャック・ニコルソンはジョン・ヒューストンの娘と付き合っていたみたいなんですよ。
そのエピソードを知ってこのシーンを観ると、何だか意味深に思えてきます…( ゚Д゚)
お気に入り度
★★★★
ちなみにジャック・ニコルソンはこの映画をとても気に入って、次作を本人が監督&主演で制作したようですが、こけちゃったとか。
「チャイナタウン」の脚本家、ロバート・タウンがもともと三部作で構想を練っていたらしいので、そっちを観たかったです( ;∀;)
原作なしでこんなに奥深い映画となっていたので、ジャック・ニコルソンが制作に口を出さなければ、絶対面白かったよお~。悔やまれる。