ザ・ロイヤル・テネンバウムズ
内容
テネンバウム家の3人の子どもたちは皆若くして成功した天才児。長男のチャスは10代で不動産売買に精通し、国際金融にも才能を発揮する。長女マーゴは12歳で劇作家デビュー。次男リッチーもまたテニスのジュニア選手権3連覇で将来を嘱望されていた。しかし、父親の過ちと裏切りにより一家は崩壊を始めてしまう。チャスは飛行機事故で妻を失い、男手ひとつで二人の息子を育て、マーゴは年上の男と結婚の末無気力な毎日を送り、次男も突然テニス界を引退、船旅に出てしまう。そんな彼らと再び家族の絆を取り戻したいと考えた父親は一計を案じるのだったが……。
引用元
解説・あらすじ - ザ・ロイヤル・テネンバウムズ - 作品 - Yahoo!映画
感想
ネタバレあります!
ウェス・アンダーソン作品で、日本公開された初めての作品です!
脚本と制作は、出演しているオーエン・ウィルソンが共同で行ったそうです!
天才3兄妹の挫折を描いています。
結構重苦しいテーマですが、ウェス監督作品に共通する、ユーモアな言葉遣いや色彩、音楽などがあり、思ったよりも気楽に観られます。
ウェス監督作品でお馴染みの顔ぶれだったのも、ほっとしましたw
リッチーの自殺未遂が一番ドキッとしました。
愛するマーゴが行方不明になって、男遊びをして何回か結婚をしていた…って強烈すぎますよね。お気の毒に…(ノД`)・゜・。
好きな人のこと、ある程度は知っておきたいじゃないですか!
マーゴは秘密が多すぎるんだ。家族の知らないところで、タバコも吸ってるしな。
この子、何なんだよ…(ノД`)・゜・。
でもほっそりとしてて、気が強そうで魅力的なんだよね( ゚Д゚)
ウェス監督の作品は、「破壊」と「再生」を描いていることが多いように思います。
「ザ・ロイヤル・テネンバウムズ」も、ロイヤルが壊れた家族との絆を再生させようと行動を起こしています。
でもさ、ロイヤルは家族との絆を自ら壊したのに、また前のように仲良くやっていきたい、だなんて勝手すぎるんです( `ー´)ノ
絆を取り戻すためにやることもさ、めっちゃくちゃで勝手すぎて、怒りを通り過ぎて呆れちゃうんです( `ー´)ノ
必死かよ!どんだけ元に戻りたいんだよ!今更なんだよ!
失ったものはかえって来ないんだよ!!!
(ノД`)・゜・。(ノД`)・゜・。(ノД`)・゜・。
って泣けるわ!
だけどロイヤルも、家族から拒絶されてやっと気がつきます。
自分の身勝手さと幼稚さに。
そして、自分の気持ちを押し付けすぎて、相手のことを思っていなかったことに気がつくのです。
リッチー:エレベーター係に?
ロイヤル:最近な。組合に入ったら昇給なんだ。
リッチー:なぜやる気に?
ロイヤル:破産した。それと自分が責任を果たせる人間だと証明したかった。
このエレベーターシーン好きなんですけど、ウェス監督ってエレベーターシーン気合い入れてる気がする。
「グランド・ブタペスト・ホテル」でも、エイドリアン・ブロディとシアーシャ・ローナンちゃんがエレベーターで睨み合いするシーンがあって、めちゃくちゃ印象的なんですよね!( 一一)
最初に思い描いたのとは違う形だったけど、ロイヤルは少しずつ、自分の居場所を見つけていきます。
チャスもマーゴもリッチーも、失ったものはかえってこないけど、それぞれ自分と向き合って生きています。
ビターなんだけど、ユーモアとセンスが光っていて爽やかな映画でした。
エセル:離婚したの?
ロイヤル:彼が書類を提出したらな
愛してるよ おめでとう。
彼はすばらしい男だ。
私とはまるで反対だな。
パゴタを頼む。
離婚した妻と再婚相手にこんなことを言えるのってすごいかっこいいと思う…。
そんな彼の墓碑銘にはこんな文字が。
ロイヤルは沈む軍艦から家族を救い、非業の死を遂げた
事実とちょっと違う気がする…(笑)
ロイヤルは自分の気持ちを表現することはなかったけど、寂しくなったのではないかと思っています。年を重ねて、人間の孤独のようなものを感じて怖くなっちゃったんじゃないかな~。説明が難しいんだけど。
"沈む軍艦"から家族を救った面もあるかもしれないけど、何よりロイヤルの方が救われたのでしょう。照れ隠しでそんな墓碑銘にしたんじゃないかな~と勝手に予想しています。ロイヤルってさ、いい加減だし、嘘はつくし、自分勝手だけど、そういうところが愛すべき人間だよね(*´Д`)
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★★★★