スケアクロウ
内容
ヒッチハイクでアメリカ大陸を横断する2人の男の友情を描く。製作はロバート・M・シャーマン、監督は「哀しみの街かど」のジェリー・シャッツバーグ、脚本はギャリー・マイケル・ホワイト、撮影はビルモス・ジグモンド、音楽はフレッド・マイロー、編集はエヴァン・ロットマンが各々担当。出演はジーン・ハックマン、アル・パチーノ、ドロシー・トリスタン、アン・ウェッジワース、リチャード・リンチ、アイリーン・ブレナン、ペニー・アレン、リチャード・ハックマンなど。
引用元
感想
ネタバレあります!
ロードムービーってわりと好きなんですよ。アメリカの土地勘も無いから旅をされても分かんないんですけど、アメリカの広い大地を男たちがケンカしながら渡り歩いていくというシチュエーションにロマンを感じるのでしょうか。憧れるんですよね〜。
さて、「スケアクロウ」はあまり派手なシーンはないにしてもじんわりと胸に沁みるような味わい深い映画でした。
ジーンハックマンとアルパチーノが主演というのも良かった。
ジーンハックマン演じるマックスは短気でケンカっぱやいですが素直な男。対してアルパチーノ演じるライオンは優しくユーモアのある男。この2人がほんの些細なきっかけで出会い友情を深めていくのです。
観始めは、マックスが短気で何かと問題を起こすので共同経営することになったライオンが気の毒だな〜と思っていましたが、一緒に旅をしていくにつれてマックスが良い方向に変わっていきます。
そして、穏やかそうに見えたライオンの方が実は心に薄っすらと孤独や闇を抱えていて、ある意味で問題を抱えていたことに気が付きました。
ライオンは元妻との電話で息子が亡くなっていると知らされます(元妻の嘘ですが)。
ここのシーンがとても痛くて辛い。
ライオンも元妻も、どっちにも共感できちゃうんですよね。
元妻は捨てられた(と思っている)辛さを思い出し、やっと掴んだ幸せを邪魔されたくないから嘘をつく。ライオンが傷付くと分かっていても。
そしてライオンはその嘘を信じたかもしれないし、嘘だと気付いたのかもしれません。どちらにしてもひどく自分を責めたでしょう。
痛すぎる。辛すぎる。お互いに好きだった時期があったからこそ、このすれ違いはエグいです。
ライオンはマックスに話すこともできず、明るく振る舞い倒れてしまうのです。
ただ、この映画の救いはライオンにはマックスがいること。マックスが真っ直ぐで情のある男で本当に良かった。
きっとライオンもマックスがいれば乗り越えられるんじゃないかな。
2人の出会いは偶然だったけど、きっとお互いにとって必要なタイミングで出会えたから関係が続くのだと思います。
出会いと別れはタイミングだから、傷付くことがあったとしても、あまりマイナスに考えすぎず、風のように軽やかに受け止めていきたいと思いました。
マックスがライオンを選んだ理由も「煙草の火をくれたから」で、軽やかでとても良い。
お気に入り度
★★★★