3月のライオン(7) / 羽海野チカ
内容
新人王を獲った零だったが、いじめられているヒナのために、自分が何もできないと勝手に思い込んでいた。
一方、ヒナは学校で心が挫けそうになりながらも、懸命にいじめと戦っていた。二人の様々な思いが交錯する中、物語は新たな展開をみせる。
「本当の優しさとは何か?」読者の方に問いかけます。
裏表紙より
感想
ついにヒナちゃんの学校のいじめ問題が解決します。モヤモヤする幕切れでしたが一安心です。
ヒナちゃんの担任の先生が倒れて代わりに臨時で国分先生が担任となったことがきっかけです。この国分先生が生徒と真剣に向き合いガッツのある、いい先生です。
そして、前の担任が精神的に追い込まれていたことを知りヒナちゃんは悩みます。そんなヒナちゃんを元気づけるために、あかりさんはヒナちゃんの好物を買ってあげます。
ヒナ「いいの? いつも晩ごはんの前はダメだって・・・」
あかり「いいのよ 好きなものなんてこんな時食べないでいつ食べるの!!」
略
あかり「さあ 買い物して帰ろう 晩ごはんは何がいい?」
ヒナ「・・・・・・シチュー ご飯にかけてもいい?」
あかり「いいわよ 今日はおねいちゃんもかけちゃう」
このシーン。ヒナちゃんに寄り添うあかりさんがとても素敵で好きです。
それから将科部。
先輩方が引退してしまいます。部員を募集しますがなかなか生徒が集まりません。ですが、実は入部をもくろんでいた先生方が集まってきます(笑)
せっかくできた仲間が引退し、再び1人になってしまう桐山を心配する林田先生。野口先輩はこう語ります。
心配しすぎです。「得たり」「失ったり」は全ての人間に避けようもなく訪れるもの・・・喜んだりがっかりしたりをくり返し
人は自分の心の取り扱い方を学んでゆくのです・・・
失望も淋しさも人間には必要な感情です
勇気を出して新しい世界に手を伸ばすのは「淋しさ」ゆえのこと・・・
ーそうやって人は・・・自分の小さな世界を赤子のように手を伸ばして広げてゆくのではないでしょうか・・・
野口先輩のすごい熟成具合。「野口せんせーい」と抱き着く林田先生の気持ちも分かります。とても高校生とは思えません。中におじさん入ってる??
そして林田先生も素晴らしい大人です。
ヒナちゃんのいじめ問題が解決したはいいけど、自分は何も助けてあげられなかった、と思い詰める桐山に林田先生はこんな言葉をかけます。
結果は大事だけどなーー桐山
人に伝わるのは結果だけじゃない
世界は結果だけで回ってるんじゃないんだよ
人と人とが、温かい眼差しでお互いに向き合っていることが感じ取れる7巻でした。悩んでいる人に、困っている人に対して誠実で温かい言葉をかけられるような人間になりたいな~と思いました。
お気に入り度
★★★★★