いかえるの感想日記

本や映画を”お気に入り度”によって評価しまとめています!他にも、お出かけしたことや音楽について感想を書いています。

幽麗搭 全9巻 / 乃木坂太郎

 

内容

 


「百数十年もの間動かなかった時計塔が、2年前の夜、ただ一度だけ動いたことがある。昭和27年6月23日午後11時53分。藤宮たつが養女・麗子に惨殺された夜のことである。」

舞台は昭和29年、神戸から始まる。文学やカストリ雑誌を好む天野太一は、国民学校高等科のマドンナ花園恵と再会し、彼女がいじめっ子であったお金持ち三村の婚約者となったことを知る。下宿先の部屋代にも事欠く境遇の天野は、謎めいた美貌の少年・沢村鉄雄(テツオ)の「一緒にお金持ちになろうよ」という誘いに乗ることを決める。テツオとともに時計塔に隠された秘密に迫ろうとする天野だったが、莫大な財産を巡って、様々な事件に巻き込まれていく。

 

wikipedia より

 

感想

 

 

冒険、エロ、グロがつまった素敵な漫画です。西洋文化が残り美しい昭和の景観だったり、探偵小説がたくさん出てきたり雰囲気もとてもいいです。
それでいて、ジェンダー的な問題にも取り組んでいて、胸にぐさーっと刺さります。

 

「男らしさ」や「女らしさ」とは何でしょう。外見、性格、心。そういったものが相手に伝わったとき、「男らしさ」や「女らしさ」が生まれるのだと思います。
だけど「男らしい」「女らしい」って何の役に立つのでしょうか。人間を大雑把にカテゴライズすることで便利な面もありますが、その他にはメリットがないように思えます。


そんなことよりも、性的なものを越えた「強さ」がその人間を魅力的にみせるんだなーと漫画を読んで感じました。性的な魅力はあくまで二次的なものであって、その人本来の魅力ではないのです。

不二子ちゃんは確かに色っぽくて素敵だけど、不二子ちゃんの魅力は「女性らしさ」ではありません。一般的に体力で男性に劣る女性が、1人で敵地に潜り込んで戦い抜く強さが不二子ちゃんの魅力です。男性に誘惑するために醸し出す「女らしさ」は、戦うための手段なのです。

 

性的なものにこだわるより人間的な魅力にこだわりたいと思いました。

 

あとステラ博士の倫理観の欠如はとんでもないっす。

 

お気に入り度

 

★★★★

 

真面目な感想になってしまいました( 一一)

「幽麗搭」には原作があります。
「灰色の女」を翻訳したものが「幽霊搭」で、それをもとに漫画にしています。

 

1898年「灰色の女」アリス・マリエル・ウィリアムソン

1937年「幽霊搭」黒岩涙香

1959年「幽霊搭」江戸川乱歩

2012年「幽麗搭」乃木坂太郎

 

いつか原作や、黒岩涙香版、江戸川乱歩版も読んでみたいです。

 

先日、金曜ロードショーで「カリオストロの城」を見ましたが、宮崎駿監督は江戸川乱歩の「幽霊搭」に影響を受けているらしいです。時計塔のモデルが「幽霊搭」の時計塔になっているので、興味がある方はぜひ読んでみてください。